医療法人さわらび会福祉村病院 理事長

山本 孝之

  さわらび会は、みんなの力でみんなの幸せを守るためにいつも活動しております。

  幸せとは、自立して自由に生き、今できることでまわりの人に役立つ働きができる時に感じるものと考えていますから、 福祉村では、病院、授産所、福祉工場などにより高齢者や障害者の自立度を高めるとともに、各施設での自治活動で 利用者の自由な運営を図っております。

  また、同じ敷地の中に、世代も違えば障害の質も異なる福祉施設を配し、みんなが一緒に暮らすことによって、 まわりの人に役立つ働きを見つけやすくしてあります。 年をとるとともに、環境の変化に適応する能力は低下するにもかかわらず、現在の法制度では、 高齢者は病状が変化すると利用施設を変えなくてはなりません。そこで、さわらび会では、 すべての高齢者施設を網羅することにより、病状変化による施設の変更も大きな打撃とならいように配慮しております。

 

 

 

医療法人さわらび会福祉村病院 長寿医学研究所 所長

岡田 秀親

  タンパク質はアミノ酸の鎖で出来ていますが、20種類あるアミノ酸の配列が構造を決めていることが発見されました。部分部分のアミノ酸配列をペプチドと呼びますが、構造に関わるペプチドに対して相互作用をするペプチドを創生できることを証明し、その方法を用いて新しいペプチド薬を生み出す技術を確立しました。この方法で、敗血症の救命薬を世に出せる予定で多額の助成金(2億4千万円)を国からいただきました。

  日本脳炎の治療薬になるペプチドも開発中です。九州大学との共同研究で、膵臓がんを抑えるペプチドもできて特許申請を目指しています。アルツハイマーの病原因子といわれているアミロイドβを溶解するペプチドも試作中です。

  一方、ウイルスの遺伝子を抑えて、C型肝炎ウイルスやインフルエンザに対する治療法の研究も行なっています。

  また、患者さんの献体脳ブレインバンクをつくりアルツハイマー病の早期診断法の開発を目指しています。

 

 

 

医療法人さわらび会福祉村病院 神経病理研究所 所長

橋詰 良夫

  高齢化社会を迎えて認知症の克服はきわめて重要な社会的課題であります。認知症をきたす疾患はアルツハイマー病、レビー小体型認知症、脳血管障害性認知症が代表的なものですが、それ以外にも前頭側頭葉変性症、進行性核上性麻痺、嗜銀性顆粒認知症、神経原線維変化型認知症など多数の疾患があります。これらの疾患の診断はいくら臨床情報や画像情報が発達した現在でも正確な最終的な確定診断は剖検脳による詳細な神経病理学的検索以外にはありません。

  福祉村病院神経病理研究所では認知症の臨床診断の向上と治療方法の開発に向けた疾患の病態解明のために、ご遺族のご理解を得て、年間30例以上の病理解剖を行い、毎月臨床病理検討会を実施しています。今後とも地道に認知症の克服のための基礎的研究を発展させてゆきます。