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2011年12月29日
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名古屋市立大学 医学部分子医学研究所生体制御部門 浅井清文 教授セミナー

題目:「中枢神経系における水代謝について:特にAqua-porinの役割について」


 この8月6日に福祉村長寿研セミナーが開催されました。
 第一部講師(第二部については来月特集させていただきます)は名古屋市立大学医学部分子医学研究所 分子神経生物学  浅井清文教授で、「中枢神経系における水代謝について:特にAquaporin (AQP)の役割について」と言うものでした。 Aquaporin(アクアポーリン:略してAQP)と言う言葉は聞き慣れないかも知れません。細胞にとって水と言うのは必須の物質なのですが、 実はこれほど在り来たりな物質も細胞膜の間は自由に行き来できずに専用の通路を通って細胞の外から内へ、 内から外へと運ばれています。その通路がAQPと言うわけです。このAQPは発見が1991年とまだ新しいもので 当初より水のやりとりの激しい腎臓、特に集合管での研究が盛んで当初より日本人研究者も大きな貢献をして来ました。 現在までにこのAQPは0~10(2002年に日本人によって遺伝子配列が決定)まで発見されており、 その型によっての分布が特徴づけられています。
 浅井先生達は脳、特に神経細胞の女房役である星状膠細胞(astrocyte: アストロサイト)の専門家で、 このアストロサイトとAQPの関係を調べておられます。アストロサイトでは既にAQP3、5、8に加え最近4と9の存在が 報告されてました。脳において低酸素状態と言うのは非常な危機的な状況でその状態が続くと神経細胞は死に 脳浮腫が生じます。このような状況の時にアストロサイトでは AQP4、5、9の発現が減るのですが、 再度酸素を投与してやると4と9が回復してくるのに反して5は一時的に3倍もの遺伝子(mRNA)発現を見せるものの 酸素再投与でもそのまま発現が落ち込んでしまう事を発見されました。この事は脳障害時での浮腫の原因が APQ5にある可能性を示唆するものであり今後の研究 の成果が楽しみです。
 陸に上がって進化した我々の血液の組成は、今もって海水に非常に近い状態です。また原始単細胞生物に とっての海水と言うのは、全ての生きる源であったわけです。しかしながら我々の細胞も海水と同じ血液から生きる 糧を獲ていると言う事を思うとAQPにはまだまだ測り知れない生物の秘密が隠されているのではないかと思いました。

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