公開セミナー
大阪大学微生物病研究所 野島博 教授セミナー
題目:「発現特化型cDNAマイクロアレイを用いた新たな診断技術の開発と実用化」
さる2月21日に大阪大学微生物病研究所難治疾患バイオ分析部門・分子遺伝研究分野 教授 野島 博 先生に 『発現特化型cDNA マイクロアレイを用いた新たな診断技術の開発と実用化』と言うテーマで御講演を頂きました。
発現特化型cDNA マイクロアレイと聞いても何の事やらさっぱりと言う方が多いのではないでしょうか。
生物が活動するために身体の一部を作り替えたり、食べ物を消化してエネルギーに変えたりする酵素や身体の成分の 中心は蛋白質で作られています。この蛋白質をつくるのは体細胞遺伝子(DNA)なのですが、メッセンジャーRNA(mRNA)と言う物質が、 そこからコピーをとって直接蛋白質を作るように作用します。このmRNAは固体同志や同一固体でもその時々によって発現する 種類や量が変化します。この変化の状況をある集団と別の集団、もしくは環境などを変えた状況をつくってやってそれぞれの mRNAの発現状況を直接引き算によってくらべてやろうと言うのが発現特化型cDNA マイクロアレイ、別名サブトラクション (日本語の引き算)法と言います。
前置きが長くなりましたが、野島先生はこの方法を独自に改変され非常に効率的にmRNA の発現の差を解析できる方法を開発されました。 今回の御講演では、その方法の概略とその方法を用いて解析された結果をお話いただきました。特に私が印象に残ったのは、 153種類という多数の精子細胞特異的な TIPS遺伝子群の中から、受精後にそれぞれの精子、卵子としてでは無く、 受精卵として初めて蛋白質を産生させるべく働くであろう遺伝子(生命に灯をともす遺伝子)を同定、解析されたお話しでした。 そのために費やされた努力は測り知れないものがあったと推察できますが、それ以上に生物にとってもっとも大切だと 言っても過言ではない因子を発見した経緯が聴けたのは、何よりも収穫でした。
御講演の後、我々のアルツハイマー病の研究においても先生の御協力がいただける運びとなりました。
これまた大きな収穫であり、私達も御講演いただいた成果に続いて、野島先生のお力添えで、アルツハイマー病の原因に 迫れるものではないかと希望を膨らませる事ができました。
戻る