公開セミナー
名古屋市立大学 医学部整形外科教室 大塚隆信 教授セミナー
題目:「骨軟部腫瘍に対する集学的治療」
去る8月6日長寿研セミナー第二部として、先号で御紹介した浅井清文教授のセミナーの後に、 名古屋市立大学大学院医学研究科社会復帰医学講座 筋・骨格系講座(整形外科学教室)教授 大塚 隆信先生によります、 「骨軟部腫瘍に対する集学的治療」が開催されました。大塚教授は永年、整形外科分野での悪性腫瘍の治療の研究に従事されています。 整形外科分野は外科と名前がつくくらいですから手術的治療をメインにされている訳ですが、大塚先生は手術では治らない 腫瘍に対しての化学療法(いわゆる抗癌剤)と放射線療法、温熱療法にも力を入れておられます。四肢の軟部組織にできる悪性腫瘍は 一部の例外(横紋筋肉腫など)を除き、化学、放射線療法の効果が期待できなのが現状です。しかし大塚先生は、 放射線療法、温熱療法と抗癌剤を同時に用いると言う画期的なアイデアによって治癒率を大幅に改善できる事を発見され、 その内容についてお話いただきました。
癌の手術以外の治療と言うものは、自分自身の細胞をも殺してしまう場合があります。化学療法や放射線療法と言うのは、 自分の細胞への反応が副作用として強く出ます。それに比べ温熱療法や免疫療法などの治療方法は自分自身の 細胞に対する反応はほとんど起きません。温熱療法は、簡単に言うと42.5度では正常な自身の細胞は死なないのに、 癌細胞は死んでしまうと言う性質を利用して腫瘍の所を42度に暖めて、癌細胞だけを殺してしまう治療法です。 また温熱療法は放射線に対して抵抗性のある細胞や、放射線障害からの回復を邪魔するなどの放射線療法の欠点を補う効果もあります。
基本的にこれらの方法は、手術後に転移の予防や転移巣への治療として単独で用いられているのが普通で、 かつ効果としてはそれ程期待の持てるものではありませんでした。しかし、大塚先生達は手術の前にこの放射線温熱化学療法を行い、 主病巣を退縮、半殺し状態にして手術で摘出すると言った方法を行っておられます。その予後は、国立がんセンターや 英国の施設とは比べものにならない程の好成績で、転移巣があった患者さんの中でも消失してしまった人が みられるとの事です。手術までの半殺し病巣の存在は、抗腫瘍性の免疫力を活性化していると思われます。 また病巣自体も最小限にする事ができるため、機能的、美容的にも患者さんにとっては大きな福音をもたらしている様です。
従来、極悪性と言われていた悪性腫瘍である肉腫も、大塚先生達の力で最小限の手術で根治できるようになってきたと感じました。
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