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2011年12月29日
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京都大学ウイルス研究所 生体応答学研究部門感染防御分野 淀井淳司 教授セミナー

題目:「レドックスシグナルの生物学:長寿・神経疾患との関連」


 さる6月27日に京都大学ウイルス研究所 生体応答学研究部門感染防御分野教授 淀井淳司 先生に「レドックスシグナルの 生物学:長寿・神経疾患との関連」というテーマで御講演を頂きました。
 淀井淳司先生は九州から西日本にかけてみられる成人T 細胞白血病(adult T cell leukemia : ATL)を1974年に世界に向けて初めて御報告されました。この病原ウイルスは 後天性ヒト免疫不全症候群(AIDS)のウイルスと非常に良く似た仲間で、以降の日本のATL研究が、その後、世界的に問題と なってくるAIDSの研究に多大な貢献をして来ました。その間、淀井先生のグループはATL ウイルスがT細胞 (白血球の中のリンパ球の一種)に感染する時のストレスに呼応して発現してくるadult T cell  leukemia-derived factor (ADF) なる物質を発見されました。結果的にこの物質は1960年代に大腸菌で発見されていたthioredoxin (TRX: 機能性の一対のSH基をもつ生体内還元剤)のヒト型である事が判りました。具体的にはシステイン-グリシン-プロリン-システイン という非常に保存された活性部位を持つ多機能性の小分子蛋白質です。その後、ATL感染時だけではなく、 ヒトの細胞がウイルス感染などを起こし酸化ストレスを受ける時に広範に発現し、細胞内外双方での生理活性を持ち、 自らの細胞を酸化ストレスから守る作用がある事が分かって来ました。
 特に面白いのは、細胞内作用として活性SH基を介しての酸化、 還元作用により、蛋白質相互作用や蛋白質ム核酸(遺伝子)相互作用に強く関与しているという点です。これは、 細胞内での各種蛋白質や遺伝子の構造的メンテナンス、安定化等に貢献している可能性が示唆され、 酸化ストレスに留まらず生体内の機能調整に大きく関与している可能性も秘めている様です。また、中枢領域においても 一過性脳虚血状態に陥った動物の星状膠細胞に発現してくる事が分かり、加えて神経保護作用がある事も判明しています。
 我々と深く関係のある痴呆症との関連においては、まだこれからの様で今後共同研究をさせていただけると言う事になりました。 痴呆症においてもその一病因として酸化ストレスが関与しているという報告が多々あるため、TRX/ADFが何かしらの 関与をしている可能性は充分あり、良い成果が出せるのではないかと、期待に胸を膨らませる事ができました。

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